新学期特別企画 実例インタビュー (後半)

改善インタビュー

 

11:そこからのビックリ展開!

お母さん:その後、教育委員会関係の室長さんという方と面談することになりまして、今までの経緯を話しましたら、ここでもまさかの「ビックリ」があったのです。
その方が言うには、「親の付き添いを強要するなんてあり得ません。行政としては、インクルーシブを推し進める方向です。それと正反対のことをしているなんて。学校を指導します」「ご迷惑をおかけしてすみません」と言われたのです。まるで狐につままれた気分でした。それで、話はトントン拍子に進み、7月から週1回母親の付き添いなしで登校させてもらっています。

聞き手:驚きの展開ですね。
*聞き手が後日、巡回相談員を厚労省のサイトで調べてみると、【相談員が直接訪問し、保育や子どもへの 対応について助言などを行い、支援することです。 発達障害やその特性のある子どもを、ひとつの施設や療育機関だけで抱え込むのではなく、地域 全体で支えていく「インクルーシブな支援」のひとつ】とありました。

お母さん:教育委員会から学校に指導が入ったようで二学期からは、親同伴をしない方向で支援級に通えることになりました。そこから再度、普通級をめざします。2学期、3学期にはケース会議(小学校、教育委員会、相談員さん、放課後デイの先生などを招集し、息子が楽しくいきいきと学校に通えるようみんなで考える)も計画しています。主人と私で出席します。カウンセラーさんとも相談しながら準備を進めています。

 

12:選んでよかった!エジソン・アインシュタイン式

聞き手:結果的には「良かったですね!」のお話ですが、このような展開にならなかったら、どうだったのでしょうか。今、どのように感じていらっしゃいますか?

お母さん:「特別支援学校のほうが、息子さんがイキイキと過ごせますよ」というようなことを皆さんから言われると…。私は小学校でのひどい状態の息子を毎日見ていましたから「そのほうが息子も楽になるんだろうか? イキイキ過ごせるのか? でも特別支援学校で本当に息子のためになるんだろうか?」と悩んでしまって。
鈴木先生やカウンセラーさんの「待った!」が無かったらと思うと…。祥仁のような子どもは、厄介ですからね…。
でも鈴木先生はいつも「息子さんは天才です!頭がスーパーコンピューターです!」と言って励ましてくれます。情熱を持って一生懸命指導してくださいます。担当のカウンセラーさんもたくさんの知識と包容力、そして、いつも変わらない明るい元気な声で主人と私を励ましてくださいます。エジソン・アインシュタインスクール協会がなければ、大海に私たち家族だけが放り出されたような感じで、本当に方向性を見失っていました。

 

13:敏感な子どもたちの才能を開くのは、やっぱり目が笑っている笑顔!

聞き手:インタビューの冒頭にもありましたが、担任の先生との相性があまり良くなかったようですが、なぜでしょうか?

お母さん:ベテランの先生だそうですが笑顔が少なのです。息子が心を閉ざしてしまった原因はこの辺りにあるのではないかなぁと考えています。

聞き手:不思議ですね。就学前相談で教育委員会や学校とは何度も話をしているのに、ベテランといっても何故にその先生を担任にしたのでしょうね。
先生が好きか嫌いで学校が好きになるか、行きたくなくなるか。影響は大きいはずです。せめて事前に祥仁くんと先生との面談をしてくれてもよかったですよね。

お母さん:そうですね。他のクラスの先生なのですが、祥仁が好きな先生がいるのです。そのクラスに行きたがるので、クラス替えを頼んでみましたがどうしてもダメですって言われてしまいました。

聞き手:制度ですから仕方ないということですね。
ところで、いい子どもって学校や先生方から見ての「いい子」なんでしょうか。先生に言われたとおりにできる子がいい子で、それが普通の子ということになるのでしょうか。なんだか不思議な感じがしますね。

 

14:面談を乗り越える最強の方法 (1)データサイエンス

聞き手:さて、話は変わりますが、百合子ママは本当に記録やメモを惜しみなくとりますよね!いつも感心しています。

お母さん:私は外資系にいたので、データ(資料)やエビデンス(証拠)を示すことが身についているのだと思います。5W1H的に時系列で整理していくことが役に立っていると感じる場面がよくあります。

聞き手:それはどんな時ですか?

お母さん:例えば、今回の一連の話し合いや面談の時などです。子どものことになるとつい、感情的や感覚的になりがちですが、このように時系列で整理しておくと客観的に話せますし、相手の思い込みなども修正することもできます。

聞き手:確かにそうですね。今までたくさんの話し合いや面談を経験された中で、他に気を付けていることはありますか。

 

15:面談を乗り越える最強の方法 (2)夫婦のワンチーム!

お母さん:はい。面談などには、絶対に夫婦で行くことです。学校との面談や話し合いに行くのは、お母さんが一人で行くことが多いかと思いますが、絶対にご夫婦で行くのが良いと思います。
お母さん一人対複数人では絶対不利ですし、いろいろな質問に答えるのが精一杯です。二人で行けば、途中で湧いた疑問や話の辻褄が合わない時など冷静に対応できます。

聞き手:確かにそうですね。鈴木先生もそう言っていますね。

お母さん:私たちは役割を決めていて、質問や方向性を答えるのは主人で、私は日常的な部分の説明などです。これは、主人が我が家の代表として話す、私は実際の現場の様子を観察し、見たことや息子に必要なことを主人に報告する。という我が家のルール、役割分担になります。
そのための準備も事前に必ずします。質問事項なども決めて作戦を立ててから挑みます。

聞き手:とても大事ですね。

*この辺りのことは「就学児健診を乗り越える最強の方法」にも
細かく書いてありますので、皆さんもご参考にされてくださいね!

お母さん:私は妹が二人いますが「お姉ちゃんのところみたいに子どものことは話さないよ」と言われます。我が家は毎日、祥仁のことを主人に報告しますし、主人もそれを聞いてくれます。ありとあらゆる情報を共有しています。そうしないととても祥仁を育てられません。

聞き手:そうですね。

 

16:『子どもの自立に責任を持つ』ということ

お母さん:私、皆さんにお伝えしたいことがあるんです。特にご主人たちに。それは「お母さんだけにお子さんの子育てを任せないでください」ということです。
お母さんが一人で学校と掛け合ったり、重要な場面を担当したりしているケースが多いと思うんですね。でも、一人だけでは心身共に長くは続きませんし、お子さんにとっても良い結果にならないと思うんですね。

聞き手:なるほど。子育てのベースは両親にあるということですね。

お母さん:大変な子どもが家の中に居て「大変大変」それだけでその日が終わってしまいます。大変な日々に翻弄されるのではなく、日頃から「自分たちはどうしたいのか」を意識して子育てをしないと、本当に大変になってしまいます。
事前にしっかりと話し合って、理解して納得して方向性を決めておかないと、いざという時に夫婦間で重要な決定ができなくなります。今回のことで更に思いが深まりましたね。

聞き手:素晴らしい考えですね。そこに、おじいちゃんやおばあちゃんも加わって、大きな一枚岩になれると、もっといいですね。

お母さん:祖父母に関していうと、祥仁が他の子ども達と違うということへの理解は最近になってからですね。私の実家の両親や親せきも、こういう子をどう扱えばいいのか、なかなか分からないですよ。同居をしていないなら尚更です。以前、普通の子と同じように、みんなで遊びに行くことを提案されたこともありました。とても大変で、私が体調を崩すからと断っても、なかなか理解が得られませんでした。決行してみると、祖父母は全く祥仁のエネルギーについて行けず、私が日常よりも大変な状態になり、結局体調を崩したことも幾度かありました。
とにかく他の子とはかなり違うので、祖父母も経験値が無いわけです。でも、今は祥仁への理解も深まり、みんなが協力してくれます。本当にありがたいです。

 

17:祥仁くんの未来予想図

聞き手:最後に祥仁くんには、どんな大人になってほしいと思っていますか?

お母さん:これは前からずっと思っていることですが、中学、高校大学と進学して貰いたいと願っています。そして「世のため、人のため」に生きられる人になってほしいと思っています。
税金を使って人のお世話になるのではなく、自立して自分の生活を立てられて、そのうえで世のため人のためになることができるようになる。これが私たちの願いです。
でも、そう思いながら現実の中で本当に大丈夫だろうか。この子はどう育つのだろうかと不安と焦りに揺れているのが、正直なところです。

聞き手:必ず、思い描いたように子どもは育つ!と200%信じ切って、育てていきましょう!鈴木先生も「子どもをよく見て!信じて!」と言い続けています。その言葉を信じていきましょう。
今日は有意義なお話してくださって、本当にありがとうございました。

 

21:~百合子ママのノート作成の極意~

百合子ママは、メモ帳をシステム化しています。その極意を公開してもらいました。
ご参考になればと思います。マネは学ぶにつながりますから「なるほど!」と思うところは、我が子のために、ドンドン取り入れていきましょう。みんなが良くなりますように?

それでは、学校と協力して体制を作っていくために「我が家が気を付けていること」を書き出しておきます!

必ず守ることは、
(1)「誰も責めたり恨んだりしない」で「いつも息子が動き回ったり迷惑をおかけしてすみません」と常に頭を下げる気持ちを忘れない。
(2)学校やみんなと協力して息子が楽しく通える環境を作りたい気持ち。�B息子のためだけでなく、息子への教育や取り組みを通して、学校の環境もよくしたい気持ち(なかなかそこまで思えませんが)
その上でノートには、学校、教育委員会、医師など、大事な人の言動を(1)細かく(2)具体的に(3)多面的に記録しておく
【何月何日、場所、どこの誰が、○○と言った、○○した。ポジティブなことも、ネガティブなことも】
メリット例1:あとで話の分かる人に出会えたとき、「何月何日に○○さんから○○といわれたのですが、これって本当にそうなんですか?」「○○さんが○○しているところを見たのですが、これっていいんですか?」と、疑問に思ったことを質問できる。その結果、自分たちの感覚が正しかったかどうか、理解できたりする。
メリット例2:苦しいとき(子供の学習が思うように進まない、発達検査表がすすまないなど)に、自分を支えてくれる。例えば放課後デイの先生に「最近前より落ち着いてきていますよ」と言われたとか。また、話し合いの時に、親だけでなく「他の人からもこういうポジティブな声が上がっている」などと客観的に説明できる。
戦いではなく、基本は協力
行政や学校とはなかなか思うようにいかないこともたくさんあります。でも、戦いと思ったり、感情的になると良い方向にいかないので、「相手に協力する姿勢を忘れずに!」を常に念頭においています。そうは言っても、なかなか難しいですが、「我が子のため」と「ここに続く子どもたちがいる」と思うとクールダウンできそうに思うのです。
学校との向き合い方:5つの工夫
(1)必ずメモに残す!
とにかく、ここはとても大事だと思っています。そのためにもこの後のポイントが必要になってきます。それをメモに残すことが時間の経過と共に重要になることがあるのです!
(2)ワンチーム:毎日、主人と情報共有する!
我が家の場合は、また本を破ってしまったとか、今日初めてこんなことをできたとか、先生にこう言われておかしいと思ったとか、どんなに些細なことも共有しています。ここはご主人の協力がモノを言います!
(3)1人では行かない!大事なところは、夫婦で臨む!
たとえば学校との話し合い、エジソン・アインシュタインスクールでのカウンセリング。特に学校との話し合いでは、母親だけでは最後まで主導権が持てずに、得たい情報や回答が得られないかもしれません。悲しいかな、父親や男性がいないと立場が弱くなるように感じます。
(4)学校との話し合いの前には、必ず準備!
私の準備とは、まず夫婦でよく話す。いつまでに何を獲得したいか、何を相手に話しておかないといけないか、紙にすべてメモを書いておくことです。
ワードや手書き、考えが浮かんだ時に極力残すようにしています。目的、背景、相手にしてほしいこと、いつまでに、を中心に書きとめるようにしています。
(5)話し合いの中でも、一つ一つ確認!
これらを面談や話し合いの中で、確実に一つ一つ確認するスキルを身につけるようにしています。次の話し合いの日時もその場で決めるのでスケジュール帳も持参。これは攻めの対応となります。その場で確定できないために「後ほど確認して」とか「後日」と言っては相手のペースに委ねることになってしまうからです。人任せにしすぎない。自分で幸せを掴む努力。これが大切と思い続けています。また、振り替えることができることは、何よりも宝になると思います。

 エジソンでは会員同士が実際に会って、話し合うことはあまりないですが、私の日常が少しでもお役に立てたら本当に嬉しいです。
 
 全ての子どもを当たり前に、社会みんなで育てる。そんな日が一日も早く来ることを祈って止みません。
 
 毎日の子育ては本当にたいへんです。でも、息子を通しての体験が少しでも皆様のお役に立つことができればと思う日々を過ごしています。
 

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