子どもの脳を科学する(1/4)

脳科学

胎児の脳はいつでき始めるの!?

胎児の脳は、受精後3週間程で2mmほどの脳の基になる管が出来て、神経管となり、やがて大脳、小脳などに分かれていきます。これが赤ちゃんの脳の始まりです。

受精後7週間頃には2cmほどになり、大脳の神経細胞がどんどん増え始め、神経細胞は樹状突起や、軸索を作って他の神経細胞との情報網を形成していきます。

13週頃には胎児の大脳は、神経細胞が盛んに作られ、20週では、約140億個の神経細胞が大脳皮質に作られます。大脳の深部にある細胞や小脳の細胞を入れると1,000から2,000億個と推定されています。

赤ちゃんは受精してから38週の間、お母さんのおなかの中で過ごしますが、その中でもかなり早い時期に脳は形成され始め、20週では大脳の神経細胞がほとんどでき上がってしまうようです。

2018年、公益財団法人東京都医学総合研究所神経回路形成プロジェクトの丸山千秋副参事研究員と前田信明プロジェクトリーダーらの研究チームは、「胎児期に脳ができる仕組みに新たなメカニズム」を発見しました。

思考や言語機能などを司る大脳新皮質は、哺乳類のみで発達しました。大脳皮質は6層構造になっていて、この内側には神経細胞が精密に配置されています。なぜ、精密に配置されているかというと、胎児期に脳深部で生まれた神経細胞が脳の表面に向かって次々に移動したからなのです。そして、この構造の乱れは自閉症や統合失調症などの精神疾患の発症につながることがわかっています。

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