この研究は、次々と神経細胞を「移動」させるための信号の仕組みを解明しました。
胎児の脳の中で生まれたばかりの神経細胞は、方向性が定まらない移動をしますが、その後、より早く移動できるように変換されます。この変換がうまくいかず障害されると、先ほどの神経細胞層の構造が乱されて、自閉症や統合失調症などが発症するのです。
深部で最も早く生まれる神経細胞のサブプレートニューロンが、あとから生まれてくる神経細胞にシナプスを介して信号を送り移動様式の変換を促すことを初めて明らかにしたのです。
この成果によって、今まで不明だった自閉症などの解明につながり、加えて人の脳の進化の謎も見えてくる可能性があるということです。
脳の発達は時間が勝負!?
なぜ、胎児の脳はこんなにも早いうちからでき始め、生まれる時にはほとんど大人と同じ神経細胞の数にまで発達するのでしょうか。それは、お腹の中にいる時期に呼吸や視覚などは機能させなくてもよいのですが、出産と同時に一気に機能させなければならないからです。
このようにして受精した直後、まだ、妊娠しているかどうかわからないうちから、脳の器官はでき始めます。妊娠したことに気づくころには、神経細胞がどんどんとできて、情報交換をし始めているのです。
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