聞き手:息子さんは何歳になられますか?
お母さん:今年の9月で6歳ですね。今は5歳です。
聞き手:お子さんに障がいがある、と気付かれたのはいつ頃ですか?
お母さん:1歳半検診の時にあまり言葉が出ていなかったので、「遅れ気味なんですかね?」という話はあったんです。
2歳4か月のころ、幼稚園の面接があり、その時に落ち着きがありませんでした。そこで幼稚園の先生から「自閉症ではないか」と突然、指摘されました。
それで「もし自閉症だったらうちの幼稚園では面倒を見られないので、自閉症と分かったらやめてもらいます」と言われてしまいました。
すごい言われ方をされて…。「自閉症」という言葉だけでも、ビックリしたうえに、そんなふうに言われたのでとてもショックでした。「この人は教育者としてどうかな?」と思ったので、その幼稚園に行くのはやめようと思ったものの、やっぱり気になってすぐ地域の保健センターでお医者さんの診察を受けました。それで、療育を始めたんです。
聞き手:療育に見てもらって、どのような診断でした?
お母さん:その頃は呼びかけに振り向かなかったり、言葉が遅い感じでしたので、はっきりとした病名などは言われなかったのですが、療育を勧められたんです。それで2歳8か月くらいから週に2~3回療育に通うようになりました。
でも、療育に行っても、簡単なマッチングなどを繰り返しやっていましたが、改善といえるような変化は取り立ててありませんでした。「同年代の子と比べて遅れているんだな」と日々ヒシヒシと感じていました。
聞き手:特に困ったところ、いわゆる問題行動などはありましたか?
お母さん:はい。公園に行っても遊具とか普通に遊ぶものでは全く遊ばなくて、公園の入ってはいけない所に行ってしまうようなことがよくありました。
あと食べ物を手で握りつぶしてしまうんです。だから、おにぎりなどを渡しても「ぐちゃ」、バナナも皮をむくのでなく、「ぐちゃ」と潰してしまう。普通にやることを普通にしてくれないことが多かったです。
聞き手:便秘とかはありました?
お母さん:便秘がちでした。3~4日に一度です。うんちに関しては最初、硬いのが出て、その後、下痢みたいなのが出る、という感じでした。
聞き手:体温はどうでしたか?
お母さん:体温は低かったですね。35度台でした。
聞き手:あと、偏食は?
お母さん:そうですね、お肉と米ばかり食べている感じでした。
聞き手:牛乳とか小麦系は特に食べていなかったですか?
お母さん:小麦は、パンを食べていました。牛乳は嫌いで飲まなかったんですが、幼稚園に行って、みんなが飲むのを見て飲むようになりました。
聞き手:言葉のほうはどうでした?
お母さん:会話は全然成り立たない感じです。言葉自体の数があまり増えてこないんです。人の言うことを素直に繰り返すこともしないので…。理解語彙は増えているようなのですが、それを自発的にしゃべるようになってきたのが最近です。
聞き手:一番、辛かったことといったら、どんなことがありましたか?
お母さん:公園などに連れて行くと、自分の子だけ違うことをやっちゃうのが…。他のお母さん同士は、子どもからちょっと目を離しても、子ども達はちゃんと自分達で遊んでいるので、談笑していられますよね。でも、私は息子を追っかけまわしていないと、何をするか分からない。
いわゆるママ友みたいな人も最初はいたんですけれど、ほかの子が息子と一緒に遊ぶことが出来なくなって、そういうところが辛かったですね。
聞き手:当協会に出会ったきっかけは?
お母さん:地域の障がい児の親の会がありまして、そこに行ったら、この先何をすればいいかわかるんじゃないかと思い、顔を出したんです。中学、高校、大学に行っているお子さんの親御さんがほとんどでした。
そこでは「進学をどうするか」という話が多くて、うちの子には早すぎるかな、という感じでした。そこで親御さん同士の会話の中で「エジソン・アインシュタインってどうなんだろうね?」というコトバが聞こえてきたんです。
それで調べてみて、鈴木先生のことを知りました。図書館にたまたま鈴木先生の本があってその本を読んだんです。さらに、鈴木先生の本を何冊か読んで「これはすごい!」と思うようになりました。
それで昨年(2015年)の8月に協会に電話して、主人と一緒に親子面談を受けました。
聞き手:親子面談を受けられたご感想は?
お母さん:「改善しますよ」と言われたのが本当に初めてだったので。今までは、お医者さんとか、療育の方とか「様子を見ましょう」とか、「その子によります」とか、そんな感じで言われていたのですが、それが明確に、「改善しますから一緒に頑張りましょう」と言われたのが一番ビックリしました。それで、もう本格的にメソッドに取り組もうと、帰り道に決めました。
8月23日に1回目のセミナーを受けました。親子面談でもうひとつ印象的だったのは、超高速のフラッシュカードのテンポがリズミカルで、楽しくて、子どもにすごく合っていたことです。
それ以来、息子はテレビを倍速で見ようとするようになりました。テンポを速くしてやると本人が楽しそうにする、というのがわかりました。
日常的にも、テンポとかリズムに乗せると色々とやってくれることがわかってきました。本人にとって心地よいテンポで教えてあげることが大切なんですね。
聞き手:最初どのような変化が見られましたか?
お母さん:便秘は、始めて半年くらいで、それまで3~4日に一度だった、状態のあまり良くなかった便が、2日に一度くらい、シュル~ッとバナナみたいないいうんちが出るようになりました。
偏食は、取り組みを始めて4か月くらいで、野菜なども食べられるようになってきました。ちょっと口に入れて試してみたり、それで美味しかったら食べてみる、といった柔軟性もすごく出てきました。
それと、体温は高くなってきて、ほぼ36度台をキープしています。
聞き手:やはり体質改善なんですね。
お母さん:そうですね。やっぱり体質が改善されたことが全体的な改善に大きく繋がっていると思います。
聞き手:医師からの診断名は何かついていたんですか?
お母さん:保健センターや詳しい先生のところに行くと「自閉症スペクトラムのどこかにいる」と言われたり、「言語障がい」「発達遅滞」「発達障がい」「広汎性発達障がい」とか、いろんな言われ方をして、結局なんだかよく分からないという感じでした。
聞き手:取り組みを始めて4か月の間に、どんな改善が起きたんでしょうか?
お母さん:言葉がとにかく増えてきて、自分が知っている言葉をどんどん、話したいという意欲的なところが出てきました。物の名前もそうですし、「悔しかった」とか「面白かった」「出来た!」「やったー」など、感情的な言葉が出てくるようになりましたね。
あと空間に対する過敏があって、暗いところとか音が反響するところを怖がって、なかなか入りたがらなかったんです。それが10月、11月くらいから急にふっとおさまってきました。それと帽子をかぶりたがらなかったのが、普通にかぶれるようになりました。
園の行事でも、紙で作る帽子などは前はかぶれなかったのが、今ではかぶれるようになってます。字もだいぶ書けるようになりました。以前はお手本や見本を見せても、見ないで適当に書こうとしていました。それが、手本をちゃんと見れるようになりました。
聞き手:改善指導に当たって、色々な工夫をされていますが、それはどうやって考えられたのですか。
お母さん:どんなことが今本人に必要なのかを考え、こんな教材があったらいいのにと思いついたものを手作りしました。本人の興味のあるものと関連づけ、楽しく遊べて実は療育になることを心がけました。単純なリハビリのような療育では子どもが勉強嫌いになってしまいます。その点エジソンでは、発達検査表(編注・親子面談で使い方の指導を受けます)がとてもよくて、教材作りや指導法の道しるべにしています。
発達検査表を見ながら、これ、まだやらせたことないけれども、出来るかも? と思うような項目に、△でも○でもなく、☆印をつけています。これはまだ「未体験」「未学習」というもので、私から働きかけをしないと、やれるようにならないかも、と思うような項目です。そういう項目を見つけては、それに対して働きかけを考えてやっています。それで何とか△を増やして、○にして、というのをコツコツやらないといけないと思うんです。
聞き手:素晴らしいです。
お母さん:発達検査表にあるような具体的な目標や指針を出してくれたところが今までなかったんです。明確なコツコツ取り組める目標が出来るのが、すごくいいと思います。
昨日、お友達に対して、「○○ちゃん、バイバイ」というコトバが初めて出ました。それと「一緒に遊ぼう」とか、「○○を貸して」という言葉が出てきました。自発的にコトバが出てくるようになったので、もっともっとそれが濃くなって、自信を持って色んなことが言えるようになってくれればいいですね。
聞き手:エジソンの取り組みをやっていて、うれしかったことは?
お母さん:やっぱり家族の笑顔が増えたことですね。主人もすごく取り組みにかかわってくれるようになりましたし。それに比例して、子どもの主人への愛着がすごく強くなってきました。それまでは、私にばかり、やらなくちゃいけないことが集中していたのが、分散されて、みんなで協力してやるようになりました。
聞き手:お子さんの伸び率を見ていると、来年十分、小学校の普通学級を狙える状況に来ていると思います。お母さんがエジソンに出会う前、約半年前のご自分と同じような状況に置かれている親御さんに対して、何かお伝えしたいことはございますか?
お母さん:色々な療育、通信教育、ペアレントトレーニングなど受けましたが、どれも期待する効果は得られませんでした。その中で、EES協会は子どもの成長が具体的に感じられました。鈴木先生や他の先生方も明るくフォローしてくださいます。鈴木先生の本を読んで、迷っているという方がいらっしゃれば、立ち止まらず、やってみることをお勧めします。
聞き手:ありがとうございました。
ここがポイント!
たくみくんは、親子面談、家庭教育プログラム、個人レッスンとステップアップされました。また、お母さんの手作り教材は素晴らしく、創意工夫に溢れています。
発達検査表を毎日チェックして、出来そうな項目に印をつけて、どうしたらできるようになるかを考えて、手作りの教材を活用していました。
今のたくみくんに一番必要な要素をピンポイントで作ることができるのは、お母さんがたくみくんをよく見ていたからですね。ここが、ポイントです。
発達検査表を使ってお子さんをよく観察すると、できることが増えていきます。
こんなふうに楽しく指導するお母さんを見て、お父さんも積極的に参加するように。その結果、お父さんとたくみくんは大の仲良しになったとか。たくみくんの成長と共に、家庭に笑顔が増えたことが嬉しいとご報告をいただきました。