食事を変えたら、発達障がい児のパニックが消えた

特別対談

「食品と暮らしの安全基金」と出会い、食の問題に取組む

国光:「これではまずいな」と思っているうちに、整体に通うようになりました。その整体の先生と「食品と暮らしの安全基金」の小若順一代表がお知り合いでいらっしゃいました。2002年発行の小若氏の本『食べるな、危険!』(講談社刊)がベストセラーになった直後だったので、人手が要るときだったんですね。私はその整体の先生から「国光さん、そんなに食のことや環境のことに関心があるなら、そこで勉強がてら働いたら」と言われて基金を紹介されたんです。

鈴木:そんな出会いがあったんですか。

国光:ええ、それが2003年のことです。そのころ代官山のイル・プルー・シュル・ラ・セーヌという洋菓子店パティシエの弓田亨さんが「日本の食が弱っている、ミネラルがない。だから今の若者はおかしいんだ」とおっしゃっていました。一方、小若氏も環境問題とかいろいろ取り組んでいる中で、このミネラルの問題を調査してみようとなったのが、2007年から2008年にかけてです。そこでミネラルの調査に入ったころに、ちょうど中国の冷凍ギョーザ事件が起こりました。テレビに生出演されていたとき、VTRで冷凍食品の水煮の実態を見て、「これではミネラルは抜け落ちるばかりじゃないか、他の加工食品も同様にミネラルがないんじゃないか」という疑問がわきおこったそうです。

発達障がい児が食で大変身した

国光:そのとき調査のモニターとして、困っているお子さんを持つ友達を紹介したのですが、それが『食べなきゃ、危険!』(三五館 刊)の本に出てくる「こうちゃん」なんです。彼は発達障がい(アスペルガー)でした。
  当時ほんとに偏食がひどかったですし、集団行動ができない状態だったので、「じゃあ試しに食べ物からやってみたらどうなるか」という調査でした。
  実際に食事を変えてみると、みるみるパニックがなくなり、顔つきも変わって行きました。きつい目がニコニコして優しい目になってくるし、描く絵がはっきりとどんどん良くなって、学校でのトラブルもほんとに減って行くということを目の当たりにしました。
  当時の私は、子どもの絵から健康や心理状態をみていく色彩心理の勉強もしていたので、彼が自由に描いた絵の経過も観察していました。彼の絵には、色彩心理という観点からも、心と体の変化が大きく現れたので、雷に打たれたような衝撃を受けました。