今、恵人は小学2年生で普通級に通っています。保育園、小学校、病院からは、小学校入学ギリギリまで「支援学校へ」と言われましたが、無理やり普通級にねじこみました。
入学の10か月ほど前に保育園から「恵人くんは就学審査委員会にかけます」と言われました。その後、専門家の方々と市の教育委員会から「恵人くんには支援学校を勧めたい」と連絡があり、病院の先生からも特別支援学校と言われ、保育園も支援学校しか考えてくれませんでした。
私は「普通校を考えています」と言い続けました。圧力は大分ありましたが、何度目かの委員会での面接時に「やってみないとわからないですよね」と言ったら、みんなが一斉に黙ってしまいました。
確かに支援学校で同じような友達と関わるのも、悪いことではないと思いますが、療育センターでも、他の子が動き回っていても恵人はちゃんと座っていられましたし、先生の話も聞けていましたし、ちゃんと返事もできる優等生でしたから「これなら大丈夫」と信じていました。
反対を押し切ることができたもう一つの理由は、恵人の担当の先生が「恵人くんはやればできるんだから、成長のために普通級にいかないともったいない」と言ってくれ、私を支え後押ししてくださったからです。
4月からの学校生活は、多少の問題はありましたが、恵人は担任の先生や支援の先生のことも大好きで、毎日元気に通っていました。
算数の計算は、足し算の答えを書けず、テストで0点を取りました。家庭ではEES協会の教材を使い、足し算を歌で覚えさせました。次は引き算で引っかかりました。学校に呼ばれて見に行くと、計算はできるのに答えが書けないのです。それで私が「こうやってやるんでしょ」と2、3問教えたら、すぐ理解しました。先生もビックリされていました。それが自信になったようで、それからは計算力がぐんぐん伸びました。学期ごとの「博士テスト」では1学期の「計算博士テスト」は0点だったのに、2学期の計算博士テストは100点でした。平仮名とカタカナも80点以上を取れて合格しました。
学校には、恵人の状態を知っている保育園からの友達がたくさんいて、特に女の子が面倒を見てくれています。1年生の運動会の時は、みんなと一緒に、自分でスタート地点まで走っていって、50メートル走を完走してゴールのテープを切ったんです。
保育園の時は、参加することすら全くできませんでした。親が一緒にいても、立って待つことができなかったり、フラフラして落ち着かなかったり…。リレーの時も先生に抱えられてようやく走る、という感じだったのに。ゴールする姿を見て本当に嬉しかったです。
やっぱり普通学級に入れてよかったと思いました。
主人は、学校の先生から「恵人くんがこんなにできるとは思わなかった」と言われたそうです。やっぱり大丈夫と思った母親の直感は当たるのだと思いましたね。
3学期になるとビックリすることが起こりました。校長先生に呼ばれてこう言われたんです。「恵人くんはすごく伸びています。学校には恵人くんよりも勉強を支援しないといけない子どもがいっぱいいるから、支援の先生をその子達に回したいのですが、いいですか?」 飛び上がるほどうれしかったです。あれほど「特別支援学校でなければ無理です」と言われた息子が、普通学級で一人でやれると認めていただけたのですから。
家庭学習もいっそう頑張ってやろうと励みになりました。担任の先生も主人に「恵人くんがこんなにできるとは思わなかった」と言ってくれたそうです。
今は2年生になりましたが、毎日楽しく通えています。友だちとはまだ、うまく関われないところもありますが、5年生の女の子が恵人の面倒をみてくれるんです。休み時間に遊んでくれたり、手をつないで歩いたり走ったり。とても感謝しています。
色々ありましたが、普通学級に入れて本当によかったと思っています。もちろん、普通学級に入れさえすればいいとは思ってはいません。支援学校や支援学級で同じような子どもと関わるのも、それはそれでいいことだと思いますが、普通学級の子から受ける影響は大きいです。みんながしゃべれるという環境にいれば言葉も自然と伸びると思うし、クラスの中でいろいろ助けてくれる子もいて、心の成長にもなる。最近では「ありがとう」という言葉がよく出るようになったのですが、これは間違いなく学校の影響だと思います。
今でも落ち込むことはあります。でも、もう少し諦めずにスモールステップの改善を続けていけば、必ず結果は出ると信じています。今後も未来に向かってトレーニングを続けていきます。
ここがポイント!
恵人くんは知的には遅れていませんでした。それよりも記憶力がずば抜けていました。例えば、イチゴのカードの裏に〇、うさぎのカードの裏に△が描いてあるカードを何枚か見せても、全て正しく覚えているので、「この子は支援学校ではない!」と確信しました。
普通級か支援学校かで諮問委員会にかけると言われた時のお母さんは本当に辛そうでした。
エジソン・アインシュタインスクール協会の個人レッスンでは、子どもの成長にあわせて、さまざまな教材を使った指導をしています。お母さんはそれを見て、「これを家でもやってみよう」と、手づくりのオリジナルの教材をつくり家庭で地道に実践されました。
子どもの成長には現状をしっかり見極め、その子に合わせた指導がとても重要です。できないことを何度も続けてやるのではなく、視点を切り替えることもお母さんにはご指導しました。何しろ、お母さんが頑張りました。日々の努力をコツコツ続けた結果が大きく花を咲かせたと感じています。